おりもの(帯下)は排卵前の2~3日(透明なもの)以外にはみられないのが普通です。
その他の時におりものがある場合や、おりものに「臭い」や「かゆみ」がともなう場合は「膣炎(子宮頚管炎)」という病気が疑われます。
「膣炎」にかからないためには外陰部を清潔に保つのは当然ですが、風通しよく、蒸れない環境を心がけることが大切です。
●膣炎の種類
1)カンジダ膣外陰炎
症状:白っぽいチーズ状のおりもの、かゆみ
治療:通院し、膣錠を少なくとも5日間、連続的に挿入。外陰には軟膏を毎日、塗布。
2)ガートネレラ菌などの細菌性膣炎
症状:いやな悪臭と少量の細菌性おりもの
治療:通院し、膣錠を3日間、連続して挿入。抗生剤を3日間、服用。
●クラミジア感染症
症状:少量のおりもの、下腹痛、不妊(無症状の人が多い)
治療:抗生剤を服用、薬の種類によって1~14日間。
●外陰炎
症状:かゆみ、痛み
治療:軟膏を塗布、薬を服用
●検査
膣分泌物(おりもの)検査やクラミジア検査をします。
この検査は痛みがなく、保険適応で実施できます。
どのような病原菌(カビを含む)が原因であるかはほぼ1週間で判明します。
日頃、おりものがあることに気付きながらも、軽度の場合はこれが普通で、病気ではないと判断しがちです。
症状が強くなっても忙しいから、恥ずかしいからと受診をためらい、刺激性の強い石けんや洗剤で患部を強く洗い、かえって症状を悪化させる人がいます。
気になるおりもの(帯下)やかゆみがある時には、まず診察を受けることをすすめます。
子宮腺筋症は血のめぐりが悪くなる子宮の病気です。
●好発年令
30~45才頃の女性に多く、出産後、子供が10才前後になった頃に症状に気付くことがあります。
●症状
肩こり、冷え性、月経異常、腰痛などの症状がみられ、症状の種類や頻度はきわめて個人差が大きい。
症状は、毎日続くことなく、良くなったり、悪くなったりします。
また、症状は月経前に強い傾向があります。
年令が若いのに、更年期障害ではないかと思い違いされる人もおられます。
下記の症状(表-1)が半数以上みられる場合には要注意です。
(表-1)
子宮腺筋症でみられる症状 | |
1.月経痛、過多月経(不正出血) | 6.手・足の冷えやシビレ感 |
2.疲れやすい、イライラする | 7.上腹部不快感、下腹部膨満 |
3.頭痛、不眠 | 8.めまい、乗り物酔い |
4.肩こり | 9.帯下(おりもの) |
5.腰痛(背中のスジの痛み) | 10.息切れ(貧血) |
11.耳鳴りがしたり、聞きづらくなる | |
12.眼の下にクマをつくりやすく、視力がわずかに低下した感じ | |
13.口の中が荒れやすく、時々、口臭も気になる | |
14.皮膚は乾燥気味で、化粧ののりが悪くなる | |
15.喉がつかえた感じがし、カラ咳をする | |
16.胸をしめつけられる感じで不安になる | |
17.吐き気、胃の調子が悪い | |
18.頭の毛が抜けやすくなったり、白髪が増える傾向になる | |
19.横向きで寝ることが多い | |
20.家族から、性格がきつくなったようにみられたり、また、夫婦関係もイヤになる |
●原因
子宮内膜の異常増殖により、血のめぐりを悪くする物質が出てくると考えられています。
●検査(保険適応)
血液検査(CA-125、女性ホルモン、貧血など)
超音波検査
MRI検査
●診断
症状、子宮の腫れ、検査結果から診断します。
●対応・治療
症状の程度により対応・治療が異なります。
軽度
1.身体を冷やさない工夫
2.運動を行う(ストレッチ等、歩く)
3.ストレスを減らす
4.入浴(半身浴で20分間)
中等度
1.血液循環改善剤
2.ホルモン剤や漢方薬
3.貧血に対する鉄剤の投与
4.痛みに鎮痛剤
重症
薬で治療しても症状の改善が少なく、日常生活に支障がある場合には手術治療になります。
内科などを受診しても異常がみられないと診断された時など、子宮腺筋症がみられることがありますので、気軽に婦人科を受診し、日常生活を快適に送って下さい。